放送大学_心理学科目選択

放送大学の心理学(臨床心理学)エキスパートと認定心理士を両方取得したいと考えた場合、どんな科目を選択すれば良いか調査したのでまとめておく。

※心理学エキスパート(正確には放送大学で受けられる履修証明であるエキスパート制度の心理学基礎プランだが、以下心理学エキスパートと呼称する)、認定心理士はどちらも特定の科目を履修し申請を行うことで取得できる資格(肩書)と思っておけば大丈夫だろう。心理学エキスパートは学校法で定められた履修証明制度のひとつで放送大学が認定するもの、認定心理士は日本心理学会が認定する民間資格。

結論から述べると、心理学エキスパートと認定心理士を取得したいと考えている場合は心理学エキスパートの対象となっている科目をまず履修し、認定心理士認定に必要な科目を履修すると良い。

というのは、心理学エキスパートの要件となっている科目と認定心理士の要件となっている科目は重なっている科目が多く、かつ心理学エキスパートの要件となっている科目の方が幅が狭いためだ。

心理学エキスパート認定要件になっている科目は漏れなく認定心理士の認定要件科目になっているのに対して、認定心理士認定に必要な科目であっても心理学エキスパート認定の要件になっていないものがある。

科目選定具体例

科目選定の具体例を示す。

下記の表は心理学エキスパート認定に必要な科目を一覧化した。(※履修登録等を行う場合は必ず自分で公式情報を確認して下さい)

必修科目を青太字、選択必修科目を黒太字で示す。

(表1)

科目名認定心理士要件マーク
心理学概論a
心理と教育へのいざないa(副)
教育・学校心理学a
発達心理学概論f
心理学統計法b
心理学研究法b
錯覚の科学d
知覚・認知心理学d
神経・生理心理学e
臨床心理学概論g
社会・集団・家庭心理学h
産業・組織心理学h
司法・犯罪心理学g
心理的アセスメントg
学習・言語心理学d

全科目が認定心理士認定要件になっていることに注目して欲しい。

心理学エキスパートの認定には20単位が必要なので、上記の表から10科目を選択して履修すれば良いことになる。

ここで認定心理士の認定要件を確認しておく。認定心理士の認定を受けたい場合はa〜hに分かれた各領域について規定の単位を履修しなければならない。表に整理すると以下のようになる。

(表2)

領域単位数
a4〜12〜36〜
b0〜(cと合わせて8以上)
c4〜(bと合わせて8以上)
d4〜16〜※3領域以上
e4〜
f4〜
g4〜
h4〜

表1に戻り、効率が良く、かつ分かりやすい科目選択の方法を検討してみよう。

認定心理士要件に着目すると、a,b,hに属する科目がそれぞれ2科目(◎)、d,gに属する科目がそれぞれ3科目(☆,△)、e,fに属する科目が各1科目あることが分かる。(「心理と教育へのいざない」は副次主題に該当し1単位とカウントされ認定条件として不利なため除外)

ここで、◎全てと☆、△からそれぞれ2科目を選択すると計10科目、20単位となり心理学エキスパート認定要件を「ほぼ」満たす。そして、同時に公認心理師認定要件のa,b,d,g,h各領域の必須要件(4単位)を満たすことができる。

先程「ほぼ」と言ったのは心理学エキスパートの認定を受けるためには選択必修科目から8単位取得する必要があるためだ。(表1)の黒太字の科目を4科目以上履修する必要があるのです。しかし、◎、☆、△の科目だけでは6単位分しか履修できていない。そこで、■の科目を選択する。

あとはc領域から4科目、d〜hとして認定される科目を10単位修めれば良いことになる。(正確に言うとd〜hから4科目、全体から6科目で良いのだが、左記の捉え方が最もシンプルで分かりやすいと思う)

上記は一例で、もちろん他の組み合わせでも無駄なく認定心理士の要件を充足させることができるが、心理学概論(青太字)は心理学エキスパート認定を受けるにあたって必修になっているのでエキスパート認定を受けたい場合は漏れなく履修していないといけない。(選択必修にも注意を払った方が良い)

臨床心理学基礎プラン

放送大学のエキスパート認定制度にはいくつかプランがあり、心理学系のものとしてこれまで取り上げた心理学基礎の他に臨床心理学基礎プランというものが存在する。これについても各科目が認定心理士のどの認定要件に該当するかをまとめておく。

(表3)

科目名認定心理士要件マーク
臨床心理学概論g
心理カウンセリング序説g
感情 ・ 人格心理学g
思春期 ・ 青年期の心理臨床g
精神分析とユング心理学g
認知行動療法g
乳幼児 ・ 児童の心理臨床g
中高年の心理臨床g
心理的アセスメントg
イメージの力g
発達心理学概論f
教育 ・ 学校心理学a
肢体不自由児の教育
心理学統計法b
心理学研究法b
社会 ・ 集団 ・ 家族心理学h
神経 ・ 生理心理学e
障害者 ・ 障害児心理学g
今日のメンタルヘルスg(副)
福祉心理学g
心理臨床における法 ・ 倫理 ・ 制度

臨床心理学エキスパートについては20単位中必修科目と選択必修科目で18単位以上となっており自由度があまりない。

せっかくなので、先述の心理学エキスパート&認定心理士のダブル認定を狙う場合において更に臨床心理学エキスパートの取得も希望する場合の履修パターンについて探ってみる。

このパターンにおいて臨床心理学エキスパートの必修科目、選択必修科目以外の科目は既に充足しているので必修科目と選択必修科目について検討する。

必修科目だが履修していない「心理カウンセリング序説」(▲)は履修確定、●がついている7科目から6科目を選択することになる。

計7科目(14単位)の履修で臨床心理学エキスパートの認定を受けることができる。

心理学エキスパートの科目選びにおいてg領域は「司法・犯罪心理学」、「臨床心理学概論」、「心理的アセスメント」の3科目が対象となっているがこのうち「臨床心理学概論」、「心理的アセスメント」は臨床心理学エキスパートの必修科目、選択必修科目になっているので、両方の認定を得たい場合はこれらを選ぶと良い。

心理学エキスパートの科目選択終了段階でc領域から4科目、d〜hとして認定される科目を10単位履修すれば認定心理士認定に必要な単位が揃う状態なので、臨床心理学エキスパートに必要な科目を履修することで残りがc領域の4科目のみになる。

認定心理士取得に必要な単位を4単位超過することになってしまうが、これにより心理学エキスパート、臨床心理学エキスパートを含めたトリプルライセンサーになることができる。(心理学エキスパート22単位+臨床心理学エキスパート14単位+c領域4単位=40単位)

まとめ

心理学エキスパートと認定心理士は科目選択を工夫することでロスなく両方を取得することができることが分かった。

また、臨床心理学エキスパートについても追加で4単位履修することで取得できることが分かった。

基本的には最も効率の良い科目履修だけにこだわるのではなく興味のある科目を修めていくのが良いかと思うが、資格や肩書の取得は勉強のモチベーションとして有効だ。

放送大学で心理学を学びたいと考えているが科目選択で悩んでいる方は是非参考にしてみて欲しい。

※繰り返しになりますが、科目登録等意思決定にあたっては必ず自分で公式情報を確認するようにして下さい。

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