放送大学OCW_現代教育入門_第三回

今回のトピックは「コンピテンシーとカリキュラム」。

コンピテンシーという言葉はコアコンピテンシー(中核的な力)やコンピテンシー(成果を生む優れた特性)という形で経営の分野で聞くが、教育の分野でもこれを育成することを目標するようになってきているという。

講義を聞いて感じたのは、現場の能力と理念とが乖離していそうだということだった。現場の能力というのは先生方を貶めているのではない。単純に教育の過程と人員が足りていないのが想像できる、という話だ。

近年の教育においてはこれまでの授業で触れてきた「導く」「引き出す」の「引き出す」面にスポットが当たるようになってきたのだと思う。これは教育において理想ではあるが、1人から3人程度の子供を見ている親でさえ引き出す教育を、となると途方に暮れたくなる。その道のプロであるとは言え1人の先生に数十人の子供相手にこれをせよというのは厳しいのではないか。とは言っても時代の要請でもあるから従来通りに知識を教え込むだけでは足りないのは理解できる。難しい問題だ。

これに加えてカリキュラムについても教員側が主体的に取り組まなければならないような話もあった。カリキュラムを考案するのは人によっては楽しい作業でもあると思うのだが、膨大な事務作業等に追われると聞く教員にこれを求めるのはこれまた厳しいように思う。(聞きかじった話なので事務作業というのがカリキュラム作成であるのかも知れないが)

例えば、資格予備校等を考えると受付の人がいてカリキュラムや教材を用意するチームがあって、それに加えて教科ごとの講師がいるのではないだろうか。(利用をしたことがないので想像の域を出ないが求人を軽く確認した所そのようになっているようだった。)

翻って小学校を考えると保護者と学校の窓口になっているのは担任の先生だし、カリキュラムの作成も授業も生活も担任の先生がやっているではないか。これは素人目にも無理というものだ。良くやってくださっているものだと思う。

実際に現場は先生方の尽力で回っているようではあるが、ゆとりがあるとはとても思えない。先生方も人間である。人間、ゆとりがないと心にも余裕がなくなるだろう。

また、教職課程について調べてみたのだが要件となっているのは約60単位のようだ。卒業要件に含まれない単位を60単位取得するのは大変だと思うが、それでもこれで足りているのだろうか。科目も確認したが、他の授業に追われながら専門科目以外に数十単位程度取得したところでカリキュラム作成を含めた専門家として期待されているだけの能力を養えるようにはとても思えないのだ。教育実習にしても「ほんの一時期」という印象がある。

これ以上教員免許取得のハードルを上げては現状だと教員を志す人がいなくなりそうなので別の視点で、もっと教員の専門性を高める方向で分業化したほうが良いように思える。そのためにはとにかく人員を増やすことが必要になりそうだが、難しいのだろうか。現在の状況で教育を改善することを考えると良いイメージが湧かないのだが。

教育については様々な意見があるが漫然と従来の教育が行われているのではなく改善や改革が試みられていることが分かった。それにしても人が足りなさ過ぎるという印象が強まったわけだが、色々な人が良い方向にしようと動いてくれているのは心強いことだ。

1人の大人が教室で強い権力を持つことについても個人的には懸念があるため、現在先生1人が受け持っている仕事を3人くらいに分業して欲しいものだと感じた講義だった。

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