![](https://lllearn.jp/wp-content/uploads/2021/11/leaf.jpg)
知能は遺伝するのか、興味がある。子育てしているからと言うのもあるし、元々そういった話は好きだ。氏より育ち、血は争えぬなど昔から人々の関心ごとの一つだったのかなと思うとなんだか愉快な気分だ。
はじめに断っておくと、この話題について研究者ではない私は結論を持たない。意見はある。
1.能力は遺伝する
能力が遺伝するのは経験則的にほぼ間違いはないだろう。そうでなくては競走馬の血統云々が成り立たない。
名馬から名馬が生まれることは保証されていないし、突然名馬が生まれることもある。それでも現役時代に活躍した血統の良い牡馬との交配には大枚が叩かれる。
走るのが速かった親からは走るのが得意な仔が産まれる可能性が高いからだろう。(血統的な意味合いもあるかもしれないが、それであるなら血統だけ見れば良く成績の良い馬でなくても良いはずだ。)
馬の例は身体的な能力の話だが、知能をこれと分けて考える道理はない。どちらも肉体(個体)に紐付けられた能力であって、肉体は有性生殖を行う生物であれば雌雄の親の双方から受け継いだ遺伝情報等に基づいて構築される。
知能となると今般の社会では王道的な成功パターンに乗る為にかなり重要度が高い能力であるため特別視されてしまうきらいがあるように感じるが、上記の視点から考えると遺伝すると考えるのが自然ではないだろうか。
2.能力は環境により左右される
これも自然な考えであり、一種救いとなる話かと思う。乳牛のような環境(閉鎖的な牛舎の中でほとんどの時間を過ごすことを想定している)で育てられたサラブレッドがどれほど速く走るだろうか。
例えば人などの他の生物種と比較して速いことはあるかも知れないが、競走馬として育てられた個体と比較するとどうなるかは想像がつく。
知能についても、特に極端なシチュエーションを考えると環境が(知能に)影響を与えることは想像に難くない。
遺伝の影響があるのと同様に環境も多分に影響を持っている。
3.遺伝と環境の割合
双生児を対象とした研究等の成果として遺伝と環境の影響の大きさの割合が示されることがある。
身長や体重においては遺伝影響が強い事や知識系よりも数学における影響度が大きい事等が有名だろうか。
こういったデータも興味深く面白いのだが、更に直感的に遺伝と環境の関係について垣間見ることが出来るデータを見つけた。
以下は、算数/国語の成績(主観値)や学習時間/塾/おけいこ経験に与える収入と学歴の影響がまとめられているものだ。(https://www.blog.crn.or.jp/report/02/273.htmlより)
![](https://lllearn.jp/wp-content/uploads/2024/06/1000092258.jpg)
学業成績については学歴が、経験については収入が強く影響している事が分かる。
学歴=知能ではないのでこれをもって遺伝の知能への影響の強さを断じることは出来ないが、あまりに違いが鮮やかだったので引用してみた。
なお、同論文内では収入帯が異なる家庭との差よりも収入帯内での学業成績格差が大きいことも述べられている。
話は変わるが、遺伝と環境の影響力の差は年代でも異なる事は触れておきたい。
簡単に言うと環境の影響は幼い頃は大きく、長じるにつれて小さくなる。(幼すぎる場合は遺伝的影響が強い)これは、性格においても知能面においても共通の傾向だ。
遺伝的な影響が大きい場合でも幼いほど親のコントロールが効きやすい可能性がある。引用した研究では非共有環境(友達関係等)の影響が述べられていないが周囲の子供を見ているとその子のその場における「キャラクター」の影響は中々強いように感じられるので、幼少時は親が訓練によって我が子の「キャラクター」をコントロールする事で非共有環境におけるポジションに関与して長くその影響力を持たせることは出来るのかも知れない。
逆の見方をすると、セルフイメージや「キャラクター」というものがあっても影響力を増していく遺伝の影響はかなり強いとも言えそうだ。
※どんな事にも言えると思うが、一部の記述や図などの情報を引用したのではその論文が言わんとしている事とは異なる解釈をしてしまう可能性がある。遺伝と環境についての記事や論文を参照する際には気を付けなければならない。